【年代別】リーバイス デニムジャケット(Gジャン)完全ガイド:1stから4th・Tバックの謎まで
ジーンズ「501®」と並び、アメカジおよびヴィンテージファッションの象徴として愛され続けるリーバイス(Levi’s)のデニムジャケット。 一般的に「Gジャン」と呼ばれるこれらのジャケットは、時代ごとにシルエットや縫製、パーツの仕様がドラマチックに変化してきました。
「1st、2nd、3rd、4thの違いや見分け方を知りたい」
「ヴィンテージ市場で高値で取引される『Tバック』とは何なのか?」
「自分の好みに合った年代のモデルを見つけたい」
本記事では、1900年代前半の誕生から1970年代に至る1st〜4thモデルの年代別ディテールと、歴史的な背景や構造の進化について分かりやすく解説します。
1. リーバイス・デニムジャケットの変遷(1st〜4th概要)
リーバイスのデニムジャケットは、主に1st(ファースト)、2nd(セカンド)、3rd(サード)、4th(フォース)という4つの世代に分類されます。
年代が進むにつれて「作業着(ワークウェア)」から「日常着(ファッションウェア)」へと用途が変化し、それに伴ってシルエットも直線的な無骨なデザインから、体に沿う立体裁断へと進化していきました。
2. 【1stモデル / 506XX】ワークウェアの原点(1900年代初頭〜1952年)
すべてのGジャンの原点であり、圧倒的な希少価値を誇るのが「1st(ファースト)」と呼ばれる506XXです。

主な特徴とディテール
- 片側のみの胸ポケット(フラップ付き)左胸にだけポケットが配置されているのが1st最大の識別ポイントです(初期モデルにはフラップがないものも存在します)。
- ウエスト背面のシンチバック(尾錠)作業時にウエストを絞って調整するための金属製バックル(シンチバック)が背面に装備されています。
- フロントのプリーツとボックスステッチ前立て(前ボタンの両脇)に運動性を高めるためのタック(折り込み)があり、それを四角いステッチ(ボックスステッチ)で留めています。
- 直線的・平面的なパターン(完全なT字型裁断)と袖付け腕を真横に広げたような完全な「T字型」の平面裁断を採用。身頃に対して袖が垂直に近い角度で付いており、腕を下ろした際に肩周りやアームホールに独特のたわみやドレープが生まれる、1stならではの無骨でクラシカルな構造です。
- 無骨で短丈なボックスシルエット身幅が広く、着丈が極端に短い「箱型」のシルエット。作業着として腰回りの動きを妨げないための設計です。
3. 【幻のディテール】「Tバック(スプリットバック)」の謎とは?
1stモデル(および一部の2ndモデル)を語る上で外せないのが、古着市場で最高峰の価値を持つ「Tバック(T-Back / スプリットバック)」と呼ばれるディテールです。

なぜ「T」の字の縫い目があるのか?
通常の1stモデルの背面は1枚のデニム生地で作られています。しかし、ビッグサイズ(サイズ46以上)のジャケットを作る際、当時の織機で織られていたセルビッジデニムの生地幅(約28インチ/約70cm)では、背幅1枚分を切り出すことができませんでした。
そのため、背面の生地を中央で2枚に分割して縫い合わせる必要があったのです。
背面中央に垂直に入った縫い目と、ヨーク(肩の切り替え)の水平な縫い目が交差し、アルファベットの「T」に見えることから「Tバック」と呼ばれるようになりました。
※生産上の「制約」が生んだプレミアム価値
単なる資材不足・生地幅の制限から生まれた補正策でしたが、当時ビッグサイズがあまり生産されなかった希少性も相まって、現代ではヴィンテージコレクター垂涎のプレミアムディテールとなっています。
4. 【2ndモデル / 507XX】戦後復興と過渡期の機能美(1953年〜1962年)
1stモデルをベースに実用性を高め、戦後のワークウェア市場へ向けてリファインされたのが「2nd(セカンド)」こと507XXです。

主な特徴とディテール
- 両胸のアシンメトリーポケット1stの片ポケットから、左右両胸にバランスよくフラップポケットが配置されました。
- ウエストサイドのアジャスターボタン背面のシンチバックが撤去され、両腰のサイドボタン(アジャスター)でウエストを調節する仕様に変更されました。車のシートや家具を傷つけないための配慮です。
- 1stからの進化:緩やかな立体化への移行(過渡期)1st(506XX)の直線的でボックス型の要素を残しつつも、袖付けの角度(アームホール)にやや傾斜がつき、身頃から肩にかけての収まりが微調整されました。3rd(557XX)で確立される本格的な立体裁断には至りませんが、1stの完全平面裁断から着心地と運動性を向上させた「立体パターンへの過渡期」としての美しさを備えています。
- 紙パッチの登場(過渡期)初期はレザーパッチでしたが、1950年代半ばから乾燥機対策として「紙パッチ(507)」へと移行していきました。
こちらは私物の2ndモデル、TCBジーンズの50sジャケットです。


5. 【3rdモデル / 557XX】近代Gジャンの完成形(1962年〜1967年頃)
Gジャンというアイテムの概念を「作業着」から「洗練されたファッションアイテム」へと一変させた歴史的傑作が「3rd(サード)」こと557XXです。
主な特徴とディテール
- V字状のフロント切り替えステッチ胸ポケットのフタから裾に向かって描かれる象徴的な「V字ステッチ」。このデザインは現代のあらゆるデニムジャケットの基本形となりました。
- ポインテッドフラップポケット胸ポケットのフラップがホームベース型(山型)にシェイプされ、洗練された印象を与えます。
- 本格的な3D立体裁断(ベースボールカット)のスマートなシルエット1st〜2ndまでの平面的な構造から、人間の身体の起伏と前傾姿勢に合わせた立体的なパターン(ベースボールカット)へと完全に脱皮。前立てのプリーツが廃止され、身体にしっかりとフィットするスタイリッシュな身頃を実現しました。
- 黄色の金茶糸からオレンジステッチへの移行ワークウェア時代のイエローステッチから、よりポップで都会的なオレンジステッチが主流になり始めます。
こちらは私物の3rdモデルを基にしたジャケットです。


6. 【4thモデル / 70505】完成されたロングセラー(1967年頃〜1970年代)
3rdのデザインをさらにブラッシュアップし、現代に通じるスマートなシルエットへとマイナーチェンジしたのが「4th(フォース)」こと70505です。
主な特徴とディテール
- 着丈の長層化とスリム化3rdに比べて着丈が長くなり、身幅や腕回りがより細身に改良されました。ローライズのパンツや街着のインナーとしても合わせやすい万能シルエットです。
- 縦長のポケットと小ぶりな襟胸ポケットの位置がやや高くなり、全体のバランスが縦長でスマートに見えるよう調整されています。
- BIG Eから小文字「e」への移行(1970年代初期)1970年代前半にかけて、赤タブの表記が大文字「LEVI’S(BIG E)」から小文字「Levis(スモールe)」へと切り替わります。
7. 年代別ディテール比較まとめ表
| モデル | 型番 | 主な年代 | 胸ポケット | 背面・ウエスト調整 | 裁断パターン・シルエット特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1st | 506XX | 1900s〜1952 | 片側1つ | シンチバック(尾錠) | 完全なT字型平面裁断、超短丈ボックス、Tバック存在 |
| 2nd | 507XX | 1953〜1962 | 左右2つ | サイドボタンアジャスター | 1stの無骨さを残しつつ、袖付け等にやや角度がついた立体化過渡期パターン |
| 3rd | 557XX | 1962〜1967 | 左右(V字ステッチ) | サイドボタンアジャスター | 本格的な3D立体裁断の導入、スタイリッシュでスリムなライン |
| 4th | 70505 | 1967〜1970s | 左右(V字ステッチ) | サイドボタンアジャスター | 着丈長め、完成されたモダンストレートシルエット |
8. まとめ:歴史を着る楽しみ
リーバイスのトラッカージャケットは、単なる衣類を超えて、アメリカの産業とファッションの歩みをそのまま映し出す歴史的プロダクトです。
無骨な平面裁断を誇る1st、緩やかにフィット感を高めた過渡期の2nd、ファッションとして洗練された立体裁断の3rd・4thなど、年代ごとの背景を知ることで古着選びやコーディネートがより深く楽しめるようになります。
お気に入りの一着を見つけて、自分だけの経年変化(エイジング)を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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